2017年4月17日 8時配信
https://www.sinkan.jp/news/7681?page=1
サービス業の人はもちろん、どんな仕事でも、時には顧客からのクレームを受けることがあります。

「クレームはサービス向上のチャンス」と、耳を傾けるのは大事なことですが、最近は「モンスタークレーマー」と呼ばれるような、理不尽で理屈の通じないクレーマーも増えているため、クレーム対応にはリスクがつきまとうのも事実です。

こうした状況に、企業と現場で働く人はどんな対処をしていけばいいのでしょうか。今回は『どんなクレームも絶対解決できる!』(あさ出版刊)の著者であり、クレーム対応研修で多大な実績のある津田卓也さんにお話をうかがいました。その後編をお届けします。
(新刊JP編集部)

――本書で「特殊クレーム」とされているような、理不尽なクレーマーによるクレームが大きな事件に発展してしまった例もあるようですね。

津田:栃木県某市役所の職員の方は、クレーマーに12年間付きまとわれた末に飛び降り自殺されました。
印象的だったのは、その方は庁舎内に遺書を残していたのですが、恨みがクレーマー本人ではなく守ってくれなかった組織に向けられていたことです。

クレーマーの問題を放置していると管理監督者の責任問題になりえます。これは脅しでもなんでもなくて、そういう社会になりつつあるということです。

――こうしたクレーマーに対する取り組みを果たしている自治体はありますか?

津田:某市役所の取り組みはお手本になるのではないかと思います。市民に応対する窓口の机の下に隠しボタンがついていて、それを押すと録画用のカメラが回るようになっているんです。そして、会話は録音されています。

なぜこんなことをしているかというと、以前妊娠中の女性職員が窓口応対中に市民に暴行を受けて、お腹の赤ちゃんが亡くなってしまうという事件があったんです。

そんなことをするのははっきりいって異常者です。ですが、クレーマーの中にはこういう人もいるわけで、この件があってからその市役所は対策を始めました。

今では窓口応対の様子を別室で職員が見ていて、問題のあるクレーマーだと判断したら警察に通報したうえで、その場に割って入るようになっていますし、部署間で情報共有する仕組みもできています。

――ひどい事例ですが、自治体としては市民にそこまで強硬には出にくいものかもしれません。

津田:確かにそういうところはあります。特に裁判沙汰となると、役所は絶対に納税者である市民を訴えてはいけない雰囲気があるのですが、実際にはそんな法律は何一つありません。

あまりにもひどいクレーマーには法的措置をとってしかるべきですし、私も役所にクレーム対応のコンサルティングに入った時は、そのように言っています。