【シリコンバレー=山田遼太郎】人工知能(AI)開発の米新興オープンAIは25日、対話型AIの「Chat(チャット)GPT」で利用者が履歴を残さずにやりとりできる設定を追加したと発表した。同社に提供する情報を利用者が管理しやすくして、個人情報保護をめぐる懸念に対応する。

利用者が「チャット履歴」を残さないよう設定すると、AIとのやりとりは履歴に表示されず、オープンAIがAIを改良する際のデータとしても使われない。同社が不正利用の有無を調べる場合に備えて30日間保存した後、データを完全に削除する。設定は利用者がいつでも変更できる。

チャットGPTでは2022年11月の公開から2カ月で世界の利用者が1億人を超えて急速に普及する一方、個人情報の収集や活用をめぐる懸念が強まっている。イタリア当局はデータを集める方法が不適切だとして利用を一時禁止した。

オープンAIはこうした指摘を受け、AIの訓練に使うデータから個人情報をできる限り削除することや、外部から個人情報の削除要請があれば応じることなどを表明していた。今回の変更によりプライバシーを保護する姿勢を一段と強調する狙いがある。

同社は併せて、AIとの対話データを管理したい企業や個人向けの新たなサブスクリプション(定額課金)サービス「チャットGPT ビジネス」を数カ月以内に始めることも発表した。同サービスでは初期設定から、利用者のデータがAIの訓練に使われないようにするという。
2023年4月26日 10:09
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN260FM0W3A420C2000000/