Published
2023/03/09 10:00 (JST)
Updated
2023/03/09 14:19 (JST)

 賃貸アパートやマンションから引っ越す際の「原状回復費」。オーナーと賃借人のうち、どちらがどの程度負担するかでトラブルになりやすい。
「国民生活センター」が2月1日、春の引っ越しシーズンを前に出したプレスリリースによると、賃貸住宅に関する相談は毎年3万件以上あり、そのうち原状回復の相談は1万3千~4千件と約4割を占めた。不動産会社の担当者にとっても他人事ではない問題だ。
ところが、賃貸住宅を扱う資格試験で、原状回復を巡って物議を醸す試験問題が出された。問題は鍵(シリンダーを含む)の取り扱いについて。
「借主が鍵を紛失した場合に限り、シリンダーの原状回復費用は借主が負担する」という選択肢が、正解とされたのだ。この文言通りだとすると、たとえば借主が故意に鍵を壊した場合でも、オーナーが費用を負担しなければならなくなる。
 この問題は、賃貸住宅の入居から退去、更新まで幅広く担う「賃貸不動産経営管理士」の試験で出された。問題と答えはインターネット上でも不動産関係者の間で話題となり、困惑する声が上がった。それでも、試験を実施した団体は、有識者を交えた議論の末、「不適切ではない」と結論付けた。
 結果として騒動は国まで巻き込むことになり、所管官庁の国土交通省は「今後の問題作成に当たり、改善を要請」した。さらに、試験合格者の中には試験実施団体の対応に納得がいかず、辞退を申し出る人も現れる事態に。結局、鍵を壊した場合はどちらの負担になるのだろうか。(共同通信=宮本寛)

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