警視庁は3日、楽天モバイルの携帯電話基地局の建設に関わる業務委託費を水増しして同社から約25億円を詐取したとして、同社の元物流管理部長、佐藤友紀容疑者(46)=東京都港区=ら男3人を詐欺の疑いで逮捕した。警視庁は佐藤容疑者が取引先と共謀して会社への水増し請求を繰り返し、キックバックを得ていたとみて調べている。

楽天グループは2020年に携帯電話事業に本格参入し、大手では後発。基地局の整備を急いできた。佐藤容疑者らが多額の事業投資に目を付け、不正を働いた可能性もある。

ほかに逮捕されたのは、楽天モバイルの業務委託先だった「日本ロジステック」(東京・千代田)元常務の三橋一成容疑者(53)=神奈川県愛川町、運送会社「TRAIL(トレイル)」(東京・港)社長の浜中治容疑者(49)=東京都中央区=の2人。警視庁は3人の認否を明らかにしていない。

3人の逮捕容疑は共謀し、楽天モバイルの基地局建設に関連して、日本ロジステックへの業務委託料に資材の保管料や輸送費など計約9億2千万円を水増しして楽天モバイルに請求。21年7月、同社に水増し分を含む計約25億円を送金させ、だまし取った疑い。

捜査関係者によると、楽天モバイルに水増し請求した分の一部はトレイルや別の取引先を経由し、佐藤容疑者が管理する口座に送金されていた。楽天モバイルと日本ロジステックの取引は19年から21年に約300億円あったといい、警視庁はこのうち数十億円が水増し請求だったとみて調べている。

不正な発注は楽天モバイルの社内調査で発覚し、同社は22年8月に佐藤容疑者を懲戒解雇にしていた。

楽天モバイルは3日、佐藤容疑者の逮捕を受けて「内部管理体制の強化とその実効性の向上、従業員へのコンプライアンス教育の徹底に取り組み、再発防止に努めていく」とするコメントを公表した。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE036TN0T00C23A3000000/