2023/02/03 12:46

 水戸京成百貨店(水戸市)による雇用調整助成金(雇調金)などの不正受給。不正は約2年半にわたって組織的に行われ、不審に思った従業員からの指摘も黙殺されていた。不正受給の総額は公表されている中では全国有数規模の3億円超。茨城県内唯一の百貨店で起きた不正の背景にはガバナンス(組織統治)の機能不全があった。(嶋村英里、土居宏之)






■ 5人で改ざん

 同社によると、不正は新型コロナウイルスの感染拡大が契機となった。百貨店は2020年4~5月、緊急事態宣言に伴って一部を除く全館が休業した。同社は従業員の出勤を制限する代わりに休業手当を支給。国に助成金を申請し、受給分を「営業外収益」として計上するようになった。

 だが、国への申請は虚偽の勤務実績に基づくものだった。取締役で総務部長だった男性が20年春以降、総務部人事担当に勤務データの改ざんを指示。人事担当課長ら4人が、実際には勤務している従業員を休業扱いにするなどしていた。

 勤務実績はカードリーダーに従業員がカードをかざすことで自動で集計されるが、総務部はそのデータを改ざん。不正受給の延べ日数は20年4月から22年8月で、雇調金が2万3795日、雇用保険の非加入者が対象の緊急雇用安定助成金が161日に上った。



■ 虚偽報告続ける
https://www.yomiuri.co.jp/national/20230202-OYT1T50101/