【ニューヨーク=竹内弘文】全米不動産協会(NAR)が20日発表した2022年通年の中古住宅販売件数は前年比17.8%減の503万戸となった。通年の販売戸数としては14年以来、8年ぶりの低水準。米連邦準備理事会(FRB)の金融引き締めに伴い住宅ローン金利が上昇し、住宅購入の需要が低迷した。

22年末時点の中古住宅の在庫は97万戸と21年末比より1割強多い水準となり、需要の弱さを映した。米抵当銀行協会(MBA)の調査によると30年固定の住宅ローン金利は22年最終週に6.58%と、21年末より3%あまり高かった。

価格高騰も中古住宅買い控えの一因となった。12月の販売価格の中央値は前年同月比2.3%高い36万6900ドル(約4800万円)だった。新型コロナウイルスの感染拡大期に住宅需要が急拡大して価格水準は大幅に切り上がった。需要が弱くなっても売り手は価格を引き下げるのをためらっている。

22年12月単月の販売件数(季節調整済み、年率換算)は前月比1.5%減の402万戸だった。米メディアによると金融危機の影響がまだ色濃かった10年11月以来の低水準を記録した。ただ、減少ペースは11月(7.9%減、改定値)より鈍化した。

NARのチーフエコノミスト、ローレンス・ユン氏は「住宅ローン金利は22年末にピークを付けた後に急低下しているので、中古住宅の販売はいずれ持ち直す」との見方を示した。

日本経済新聞 2023年1月21日 5:58 (2023年1月21日 6:08更新)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN20D4U0Q3A120C2000000/