通信障害が起きた際に物流サービスや銀行のATMなどの社会インフラをどう維持するかが課題となっています。こうした中、通信大手が競合他社の回線を活用して利用者へのサービスを維持しようという動きが出ています。

ことし7月に起きたKDDIの大規模な通信障害は、延べ3091万人以上に影響がおよび、企業の物流システムや銀行のATM、バスのICカード決済など社会インフラの利用にも支障が出ました。

このため、KDDIは障害が発生した場合に競合他社のNTTドコモやソフトバンクの回線をバックアップとして利用できるサービスを企業や自治体などに提供することになりました。

障害の発生を検知すると、自動的に他社の回線に切り替わり、使用した分だけ料金がかかる仕組みで回線を別々に契約するよりもコストをおさえられるということです。

KDDIの野口一宙5G・IoT企画部長は「通信障害を起こした企業の責務として、お客さまに選択肢を用意する必要があると考えた。業務の継続や暮らしの安心につなげていきたい」と話しています。

また、NTTコミュニケーションズもグループのドコモの回線に加えて、障害が発生した時にはKDDIの回線に切り替えられるサービスを今月から開始します。

通信障害への対応策については、携帯電話の利用者がほかの会社の通信網を利用できる「ローミング」の導入に向けて、総務省の検討会でも議論が進められています。
2022年12月7日 6時50分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221207/k10013915061000.html