受信料値下げを含むNHKの2021~23年度経営計画修正案の大枠が8日分かった。地上波放送とBS放送が見られる「衛星契約」の料金を過去最大となる月額約200円引き下げるほか、地上波のみの「地上契約」は同数十円下げる。親元を離れて暮らす全学生からの徴収を全額免除する。いずれも23年10月から実施予定。修正案は、11日開催のNHK経営委員会に提示する。

 値下げは、19年の消費増税分の据え置きを含めると4回目。現在の月額は、衛星契約が2170円(口座振替・クレジット、2か月払いの額から算出)、地上契約が1225円(同)。衛星料金の値下げ幅は、12年の120円を超える過去最大となる。

 また、受信契約をしている親元を離れて暮らす学生も契約対象となっており、奨学生などを除いて家族割引として半額の支払いを求められるが、昨今の物価高やテレビ離れなども考慮し、奨学生などと同様、全額免除とする。

 さらに支払い方法によって異なる受信料額を一本化する。約8割が利用する口座振替やクレジットカード払いよりも、コンビニや銀行などに足を運んで支払う「継続振込等」の方が月額50円(2か月払いの場合)高く設定されている。修正案ではその差額をなくして同額とする。

 22年3月末の契約総数は4155万件。衛星契約は2203万件で53%を占めるが、料金が地上契約の約1・8倍で割高感が指摘されてきた。経営計画では、値下げの原資を受信料収入(21年度6800億円)の約1割に相当する700億円程度とし、当初は衛星契約のみの値下げが想定されていた。しかし、約半数を占める地上契約者にも還元すべきだとの考えから、原資を800億円に増額した。

 23年度以降の収支は赤字を見込むが、2200億円超にまで膨れあがった剰余金の一部を値下げの原資に割り当てることなどで、26年度まで不足分を補う。27年度以降は、業務のスリム化などにより、受信料収入を6000億円として収支均衡予算を組み、剰余金を使わずに値下げ額を維持していく見通しだ。
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