三菱重工業子会社の三菱原子燃料(茨城県東海村)が1日までに、核燃料の生産再開準備を始めた。国内に3社ある核燃料製造会社は、原子力規制委員会の新基準への適合に時間を要し、2018年12月を最後に全社が生産を停止した。新基準適合が認められたのは三菱原子燃料が初めて。政府が原発の活用方針を打ち出す中、原発燃料の製造が約4年ぶりに再開される。

三菱原子燃料は原料となるウランを加工し、西日本に多い加圧水型(PWR)と呼ばれる原発の燃料を製造する。14年1月に規制委に審査を申請し、今年8月19日に合格証を受け取った。同社は「引き続き安全を最優先に、生産再開に向け取り組んでいく」としている。早ければ今月中にも製造を始める見通しだ。

政府は今年8月、電力の安定供給のため、これまでに再稼働した原発10基に加え、来年夏以降に追加で7基の運転を再開する方針を打ち出した。原発を活用していくためには、燃料の供給体制を整えることが必要になる。

運転中の九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)では、核燃料の在庫が底をつきつつある。今年10~12月には、三菱原子燃料から新たな燃料を受け入れる計画。同社が早期に規制委の審査を通過できるよう、九州電力は助言などで支援してきた。
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