デジタル庁は、マイナンバーカードの機能をスマートフォンに搭載し、早ければ本年度中にも行政手続きなどで使えるようにする。しかし、当初は米グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」を採用したスマホのみで、iPhone(アイフォーン)への対応は、時期が未定で遅れている。両者のシェアは拮抗しているとみられ、行政サービスで不公平さが生じる。

デジタル庁幹部は「アンドロイド端末でのシステムは2022年度末に出来上がる方向で作業を進めている。年度が明けてそう遠からずに導入できる状況」と説明した。
◆取得が必須のテコ入れ策?

マイナンバーカードの普及率は8月23日現在で約47%にとどまり、本年度末までにほぼ100%という政府目標の実現は厳しい状況だ。今回のスマホ搭載は普及をてこ入れする狙いがあるが、一定割合の国民は蚊帳の外になり実効性も不透明だ。

マイナンバーカードは現在、身分証明書や健康保険証のほか、コンビニで住民票の取得などに使える。カード機能のスマホ搭載によって、政府は今後、オンラインでの行政手続きや運転免許証などの電子証明書に利用してもらうことも想定。「利便性が向上する」とするが、スマホ搭載になってもカード自体の取得は必要で、その点で煩わしさは残る。

アイフォーンへの搭載を巡っては、河野太郎デジタル相は「(アイフォーンの基本ソフト)iOSでは遅れる」と断言しており、搭載の目安の時期すら公表されていない。遅れる理由について、デジタル庁は「詳細は話せない」とする。ウィンドウズなどその他のスマホへの導入は、検討すらされていないのが現状だ。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/199471