→仕入れ先から値上げ要請殺到、サイズや数量調整で対応も限界近づく
→米国の1ドルショップは価格引き上げも、セリアは100円均一を堅持

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/i9h1UZuSbIzk/v0/1800x-1.jpg
ダイソーのマロニエゲート銀座店(4月) Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

東京・三鷹にある100円均一ショップ「ダイソー」に買い物に訪れた赤池稔さん(40)は最近、すべての物が値上がりしていると実感している。

  都内でサービス業に従事する赤池さんは2週間に一度ぐらいの頻度で台所用品などを100円ショップで購入。「1円でも安いもの」を買いたい気持ちが強く、皿洗い用のスポンジでも近所のスーパーより安ければ、100円ショップにわざわざ足を運ぶという。

  しかし、赤池さんが今後も食品から文房具までさまざまなものをワンコインで安く買い物ができるかは不透明だ。国内でインフレ懸念が高まり為替相場も約24年ぶりの円安水準となる中、デフレの象徴でもあった100円ショップのビジネスモデルが岐路を迎えている。

  千代田区神田小川町のビジネス街に店を構える100円ショップ「ビーワン」には最近、多くの仕入れ先から値上げ要請のメールが連日届く。円安や原材料高に加えロシアによるウクライナ侵攻でエネルギー価格も上昇。同店の幹部は、公表していない情報であるとして匿名を条件に、国内の運送業者の値上げ幅も大きく厳しい状態が続いており、薄利多売の商売はもはや我慢比べだ、と述べた。

  同店では90リットルのゴミ袋を10枚100円で販売しているが、仕入れ先が今月から納入価格を大幅に引き上げた。店頭での販売価格は100円から変更できないため、数量を5枚入りに減らした製品も作り始めているという。

  都心を中心に店じまいする店も出始めた。プロディア(東京都豊島区)は今月1日、都内で運営する全9店舗をすべて閉店したと明らかにした。理由は示していない。
□100円ショップ by Prodire | 東京都内に100円ショップを展開するプロディアです!
https://prodire.co.jp/

  SMBC日興証券の金森都アナリストによると、リーマンショック後など過去の円安や材料高局面では、100円ショップ大手はサイズや数量の変更で対応できた。しかしここ数年は為替相場など市場が比較的安定していたため、サプライヤー側の機動力が失われているとみる。

  業界大手も厳しい状況に置かれている。全国で約1700店舗を展開するセリアでは、今期(2023年3月期)の売り上げについて前年同期比4.2%増とみているのに対し、営業利益は16%低下すると予想。原価上昇を抑えるため低原価商品の開発に注力するという。

  キャンドゥも4月の決算資料で「ウクライナ情勢の緊迫化、世界的な原材料価格の高騰など、いまだ厳しい状況は続いている」と述べた。
□IR情報 | 会社案内 | キャンドゥ
https://www.cando-web.co.jp/corporate/ir/

>>2 へ続く

2022年6月16日 6:00 JST
Bloomberg
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-06-15/RDC7UDT0AFMU01