中略
米国での販売価格には変更はないが、日本ではM1チップ搭載のMacBook Airが11万5280円から13万4800円(税込、いずれもアップルオンラインストア)に値上げされている。税別の本体価格は、従来は1ドル105円だったものが、今回は1ドル123円で計算されているようだ。6月13日現在の為替レートは134円となっている。引き続き、円安基調が続けば、今後、さらに価格改定される可能性もあるだろう。

 円安基調に加えてウクライナ問題、さらにコロナ禍による中国のロックダウンなどの影響で、物流が混乱したことで、国内の中古端末市場に異変が起きている。

 例えば、大手中古スマホ販売店オンラインストアでは「iPhone 13 256GB グリーン」の未使用品が10万7980円で売られている。アップルストアでは同じモデルの新品が11万800円にも関わらずだ。新品と未使用品がわずか2820円の差しかない。この価格差であれば新品を買うような気もするが、アップルストアの店頭に同じモデルの在庫はなく、すぐには購入できない。オンラインでも10日ほど待たないと届かない状態だ。

世界的にiPhoneが品不足となるなか、購買意欲の強い中国市場に日本のiPhoneが大量に輸出されている可能性が高い。品不足になれば、それだけ中古端末の買い取り価格は上昇し、結果として中古品でも値段は高くなる。日本のユーザーがiPhoneを買おうと思ってもなかなか買えず、割安な中古品を選ぼうと思っても予想以上に高いということが起き始めている。

また、キャリアがiPhoneに高額な割引をつけて売ろうとしても、「転売ヤー」が群がり、本当に欲しい人に届かないという状況に陥っている。総務省が端末価格と通信料金の「完全分離」を導入したため、通信契約がなくても割引が適用されたiPhoneを購入できるようになった。結果として転売ヤーが群がったため、ドコモショップなどは「購入時には箱に名前を書く」という保育園のような対処で乗り切ろうとしている状況だ。

 キャリアとしては「2年間、使用したら返却する端末購入サポートプログラムでの販売を強化する」といった対策をとっているところもあるようだ。いずれにしても転売ヤーという存在によっても「iPhoneが気軽に買いにくくなる」という状況が広まりつつある。

今後も円安基調が継続すれば、この秋に発売されるiPhone14(仮)はとんでもない値付けになることが予想されるだろう。ただでさえ上位モデルは20万円近い値付けも珍しくないだけに、iPhone 14(仮)では20万円を超えるモデルが相次ぐのではないか。

 ドルと円の換算レートだけを見れば「値上げで困る」という話だけで済むのだが、これが中国の通貨、人民元と円の換算レートも考慮するとさらに厄介な話になる。

 2022年6月13日現在、1人民元は20円という換算レートになっている。2014〜15年頃に19円台という換算レートをつけ、一時は15円前後となっていたが、2021年から円安基調となり、いまでは20円を超えるようになってしまっているのだ。

 2014〜15年、人民元が19円台の換算レートだった頃、9月のiPhone発売日にはアップルストアに大行列ができていた。しかも、大半は外国語を喋る人たちばかりで、大量の札束を持った元締めのような人も見かけられた。外国から見れば、日本で発売されるiPhoneは換算レートの関係からとても割安であり、しかも外国人が購入するとあって消費税なども免税となっていた。

 また、当時はiPhoneは世界同時発売ではなく、日本や米国の発売日は早かったが、他の国はちょっと遅れて発売されるという状況であった。そのために大規模な組織によって、アップルストアには大行列ができ、転売目的でiPhone(当時はiPhone 6など)が買われていったのだった。

今年の9月に人民元が20円台の換算レートとなると、まさに2014、15年の再来となり、アップルストアには外国人が群がる可能性がある。最近はオンラインによる事前予約が導入され、かつての大行列にはならないことが予想されるが、その事前予約が取りたくても取れないという状況になることは考えられる。

 iPhone14(仮)が発売されても、日本のユーザーは「高くて手が出ない」に加えて「欲しくても予約すらできずに手に入れられない」という二つのハードルを乗り越える必要が出てきそうだ。
https://japan.cnet.com/article/35188844/