総務省がアクション・プランで後押ししたこともあり、スマートフォンの中古市場が右肩上がりで成長している。調査会社・MM総研が発表した2020年度(2020年4月から2021年3月まで)の販売台数は、過去最高の185万台を記録。2021年度には、10.3%増の204万台との予想も打ち出している。中古販売の現場からも同様の声が挙がっている。インタビューに答えたニューズドテック(旧携帯市場)もその1社だ。

同社は2021年12月に、中古スマートフォンの販売台数で過去最高を記録。前年同月比の1.6倍と急成長を遂げている。一方で、KDDIに続き、ソフトバンクが認定中古のiPhoneを発売するなど、業界環境も徐々に変わりつつある。端末価格の上昇に伴い、2年で端末を返却するとお得になるアップグレードプログラムも定着したことで、端末の買い取りが難しくなる可能性も指摘されている。

 このような中、スマートフォンの中古販売は今後どうなっていくのか。ニューズドテックの代表取締役CEOで、業界団体のリユースモバイル・ジャパンの理事長を務める粟津浜一氏に、中古販売のトレンドや今後の展望を聞いた。

ahamoやpovoの影響で中古端末のニーズが増加
―― 21年は料金値下げを中心に、携帯業界が大きく動きました。中古市場には、どのような影響があったのでしょうか。

粟津氏 19年10月に改正電気通信事業法が施行され、回線と端末が分離されたことで、端末の価格が上がりました。昨年(2021年)は、その中でahamoやpovo、LINEMOといったオンライン専用プランが出てきています。消費者が通信料を下げようとしている中、端末代も合わせて安くしようという動きがようやく昨年から出てきたと思います。中古でもいいから、安く買いたいというニーズが増えてきました。

 2つ目が、SIMロックの原則禁止です。これによって、もともと僕らの販路はドコモ端末ならドコモ回線のユーザーだけだったのが、いろいろなキャリアで使えるようになりました。一方でAndroidは対応バンドの問題が顕在化したので、今まで以上に商品説明をしっかりしていかなければなりません。買ってはみたものの使えなかったという話は、国内外で出ています。

―― 売れ筋の端末を見ると、やはりiPhoneの比率が非常に高いと思います。この点は、変わっていないのでしょうか。

粟津氏 市場全体ではおっしゃる通りiPhoneですが、僕ら(ニューズドテック)に関しては6割がAndroidです。変わった事業者ですね(笑)。その主な要因には、仕入れルートがあります。他の事業者はiPhoneを国内外から仕入れていますが、僕らは代理店やリサイクルショップ、チケットショップなどに売られた端末を買い上げるモデルです。リサイクルショップやチケットショップは、顧客の幅が広い。iPhoneだけでなく、Androidも自然と端末が集まってきます。Androidの方がラインアップは断然多いので、結果としてAndroidが多くなっています。

―― なるほど。中古として販売している量がそもそも多いということですね。個々の端末での売れ筋はいかがですか。

粟津氏 iPhoneは一定層に人気があり、すぐに売れますが、Androidはロングテール商材です。Galaxyを使っている、Xperiaを使っているという人が一定の数いますので、そういう方々が僕らのところに来ます。また、Pixelに関しては法人で使われるケースも多いようで、お問い合わせをいただくことが増えています。
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