楽天モバイルで米Appleのスマートフォン「iPhone」を使っている利用者の間で着信ができない不具合が発生している問題で、総務省が早期の原因究明と解消を求めたことが12月17日、分かった。楽天側は事態を把握しており、総務省にも利用者から苦情が寄せられている。消費者の声にどう対応するか、公益性の高い携帯電話事業者としての姿勢が問われそうだ。

 不具合は、楽天モバイルの回線でiPhoneを利用した場合、電話を受けても着信の表示が出ないというもの。「反応なく留守番電話に切り替わる」などという、電話をかけた人の書き込みが夏ごろからネット上に相次いでいる。

 同社の端末は通話が無料になる独自の通話アプリと、端末に標準搭載されている通話アプリの2種類が使えるようになっている。iPhone以外は独自アプリに自動的に着信するが、iPhoneは2021年7月から、楽天モバイル以外からの着信は標準アプリで受けるよう仕様変更された。楽天モバイルは「仕様変更との関連はない」とし、「本体の電源の入れなおしなどで解消できることがある」としている。原因は調査中という。総務省の関係者は「年内にも何らかの報告があることが望ましい」と話す。

 電気通信事業法では、緊急通報以外の電話で通話ができない状態が「10万人以上かつ1時間以上」継続すれば重大事故にあたる。重大事故には速やかな報告と30日以内の原因究明が義務付けられるが、楽天は影響人数は「ごく少数」で、「通信網にも障害は発生していない」としている。

 ただ、着信の記録が残らないため、利用者は不具合に気付けない。事態が長期化している中、基地局整備の遅れなどさまざまな要因で通話がしづらくなりがちな楽天モバイルには、法令上の義務を超えた利用者に向き合った対応が求められる。
2021年12月20日 07時00分
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2112/20/news065.html