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米メルクの新型コロナ治療薬「モルヌピラビル」=同社提供・AP

米製薬大手メルクの日本法人MSDは3日、新型コロナウイルスの治療薬候補「モルヌピラビル」について、厚生労働省に製造販売承認を申請した。関係者の取材でわかった。承認を得られれば、軽症・中等症の患者向けで国内初の飲み薬となる。メルクは新たな変異型「オミクロン型」に対しても有効である可能性が高いとしている。世界的な感染拡大が懸念されるなか、自宅で治療しやすくなる飲み薬が国内で認められれば、医療機関の負担軽減につながる可能性がある。

モルヌピラビルはメルクが米リッジバック・バイオセラピューティクスと共同開発した抗ウイルス薬で、体内でコロナウイルスの増殖を抑える働きがあるとされる。臨床試験(治験)では、1日2回5日間服用すると、重症化リスクのある軽度から中程度の症状の患者が入院・死亡するリスクを約30%下げる効果があった。

同薬は11月4日に英国で承認された。欧州連合(EU)でも緊急使用を認める勧告が出ており、米国でも米食品医薬品局(FDA)が同月30日に開いた諮問委員会で重症化リスクの高い大人への使用を推奨。FDAはこれを踏まえて承認を最終判断する予定だ。メルクは日本での承認取得後、年内にも国内供給を始める。日本政府はのべ160万人分について約12億ドル(約1300億円)で契約している。

国内では「抗体カクテル療法」として知られる中外製薬の「ロナプリーブ」など、5種類の薬がコロナ治療薬として承認されている。このうち軽症・中等症患者向けの薬では、ロナプリーブと英グラクソ・スミスクラインの抗体薬「ゼビュディ」が実用化済み。ただ、いずれも点滴や注射での投与が必要なため、飲み薬を求める声が高まっていた。

飲み薬が実用化されれば、自宅での服用も可能になり、入院しなくても治療しやすくなる。メルクはモルヌピラビルを濃厚接触者に投与する発症予防の用途での治験も進めている。

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2021年12月3日 13:43
日本経済新聞
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