円安が進んでいる。いまなぜ円安が進み、このまま続くと日本経済にはどのような未来が待っているのだろうか。為替分析が専門のJPモルガン・チェース銀行東京支店市場調査本部長の佐々木融氏に聞いた。【聞き手は経済プレミア編集部・平野純一】

 −−円相場は1ドル=115円まで円安が進み、年初の103円程度から10円以上の値下がりです。

 ◆佐々木融さん 貿易量や物価水準などを加味した「実質実効為替レート」(注)で見ると、現在の円相場は1973年の変動相場制に移行する前の水準まで円安になっています。実質実効為替レートは、2010年を100とすると現在は70程度で、70年代と同じ水準です。

 固定相場当時は1ドル=360円でした。変動相場制になってからはどんどん円高が進み、実質実効レートでは95年4月の1ドル=79円75銭の時が最高値です。しかし、その後は円高と円安を繰り返しながらも趨勢(すうせい)としては実質的に円安基調になっています。変動相場制移行からおよそ50年を経て、円の実力は元に戻ってしまいました。

 −−円が弱まる方向にさまざまな力学が働いているということでしょうか。

 ◆為替レートが決まる要素に…
https://mainichi.jp/premier/business/articles/20211125/biz/00m/020/028000c