■実質的な利益はゼロなのに、税金だけを引かれることも

 NISAでの運用は値上がりしても税金を引かれず、100万円の株が120万円に値上がりして売ったら、値上がり分の20万円が丸々手取りになるので、普通に投資するよりもおトクだと思うかもしれません。けれども、投資である限りは、値下がりすることも大いに考えられます。

 100万円の株が80万円に値下がりしたらどうでしょうか。多くの人は値下がりすると損を確定させたくないので、そのまま口座に放っておいて100万円に戻るのを待つ「塩漬け」という状態にしがちです。

 通常の証券口座なら、ずっと「塩漬け」にして100万円に戻るまで待って引き出すなら税金はかかりません。

 ところがNISAは、5年なり10年なりで、損をしていても必ず引き出して損を確定しなければなりません。通常の証券口座に移してもよいですが、そのときの株価が80万円だったら、80万円で買ったということになります。

 そのまま「塩漬け」して、やっと買い値の100万円になったから売ろうとすると、20万円の利益となり、なんと約4万円もの税金が引かれます。NISAで始めてしまったばっかりに、実質的な利益はゼロなのに、税金だけを引かれるという理不尽なこともありうるのです。

 国や金融機関は損をしたときのリスクについてはあまり説明をしてくれませんが、NISAで買ったものが値下がりすると、後々払う必要のない税金を払わせられる可能性があるということは覚えておきましょう。


バカだなこの記者