ANAホールディングス(HD)は29日、2022年3月期の連結最終損益が1000億円の赤字(前期は4046億円の赤字)になりそうだと発表した。35億円の最終黒字を見込んでいたが一転、赤字予想に引き下げた。最終赤字は2期連続。新型コロナウイルスの影響による運航停止で旅客需要の減少が長引く。国内線の旅客需要は回復の兆しがあるが、世界的な感染拡大で主力の国際線の需要回復が遅れることが響く。

従業員1人当たりの生産性を高めるため、ANAブランドの従業員数を25年度末に20年度末比で約9000人減の約2万9000人とする目標を明らかにした。

22年3月期の連結売上高は前期比46%増の1兆600億円。営業損益は1250億円の赤字(前期は4647億円の赤字)を見込む。国内線を中心に需要回復を見込んでいたが、4〜9月期の大半が緊急事態宣言の発令期間となり、旅客数低迷につながった。

片野坂真哉社長は同日、下方修正の背景について「感染拡大に伴う移動制限で需要の本格的な回復が大きく後ろ倒しになった。全社を挙げてのコスト削減による収益の押し上げがあっても、カバーしきれないと判断した」と話した。足元の固定費はコロナ前と比べて約3割減少しているとし、22年1~3月期で黒字転換を目指すとした。

同日発表した21年4〜9月期の連結売上高は48%増の4311億円、最終損益は988億円の赤字(前年同期は1884億円の赤字)だった。10月に緊急事態宣言が解除となり、旅行需要は回復の兆しも見える。一方で国際線は世界的な感染拡大で需要回復が遅れる。
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