米テスラ最高経営責任者(CEO)のイーロン・マスク氏が率いる米スペースXは15日、4人の民間人を乗せた宇宙船「クルードラゴン」を米南部フロリダ州から打ち上げた。宇宙船は国際宇宙ステーション(ISS)よりも遠方の高度約570キロメートルの軌道を周回し、3日後にフロリダ沖の海面に着水して地球に帰還する予定だ。

スペースXは15日夜、自社開発したロケット「ファルコン9」を使い、フロリダ州のケネディ宇宙センターから4人を乗せたクルードラゴンを打ち上げた。約10分後に宇宙船をロケットから切り離し、軌道への投入に成功した。

「インスピレーション4」と名付けた今回の宇宙飛行には、費用の大部分を負担した米起業家のジャレド・アイザックマン氏ら4人の民間人が乗り込んだ。米メディアによると、職業宇宙飛行士を含まない民間人のみによる宇宙滞在飛行は初めて。

スペースXが今回の宇宙飛行に使ったクルードラゴンは、20年に米航空宇宙局(NASA)の宇宙飛行士をISSに送り込む初の有人飛行に成功している。その後も有人飛行の実績を重ねていた。

米国では民間企業による宇宙開発が熱を帯びている。米アマゾン・ドット・コム創業者のジェフ・ベゾス氏が設立した米ブルーオリジンは7月、同氏らを乗せた宇宙船の弾道飛行に成功している。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN160S90W1A910C2000000/