【シリコンバレー=奥平和行】米フェイスブックと眼鏡大手の仏エシロール・ルクソティカは9日、写真の撮影や音楽の再生などが可能な「スマートグラス」を米国などで発売した。フェイスブックは次世代技術として仮想現実(VR)や拡張現実(AR)の開発に注力しており、対応する製品群を広げる。

エシロールが展開する「レイバン」ブランドの製品として「レイバン・ストーリーズ」を発売した。定番の「ウェイファーラー」などの型を用意し、米国における価格は299ドル(約3万3000円)からに設定。北米とオーストラリア、英国など欧州の3カ国で売る。現時点で日本は対象外で、時期は未定としている。

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通常のサングラスの意匠を踏襲して違和感を減らす一方、フレームに500万画素の小型カメラを2つ組み込み、マイクやスピーカー、操作用のタッチセンサーなども内蔵した。音声コントロールやタッチセンサーの操作により写真や30秒までの動画の撮影が可能なほか音楽の再生、通話もできる。

フェイスブックが提供するスマートフォンのアプリ「フェイスブック・ビュー・アップ」と組み合わせて使い、撮影した画像の編集や、交流サイト(SNS)や対話アプリを通じた共有ができるようにした。約1時間の充電で6時間程度の利用が可能という。

スマートグラスなどの眼鏡型端末は「スマホの次」として過去に注目を浴びたが、本格的な普及には至っていない。米グーグルが2013年に発売したもののプライバシー侵害との指摘を受け、現在は提供を業務用に絞っている。フェイスブックはカメラの稼働時に発光ダイオード(LED)が点灯して周囲の人に分かるようにするなどしてこの問題を防ぎたい考えだ。

フェイスブックは14年に米オキュラスVRを買収し、ゴーグル型のVR端末に参入した。スマートグラスの発売はこれに続くウエアラブル機器を強化する動きになる。スマートグラスを通じて眼鏡型端末の知見を蓄え、現実の景色に文字やCG(コンピューターグラフィックス)で作成した画像を重ね合わせることができる本格的なAR対応製品の実用化につなげる。
2021年9月10日 3:58 (2021年9月10日 5:24更新)
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