タイとベトナムが新型コロナウイルスの感染再拡大を受けて、それぞれ最大都市で事実上のロックダウン(都市封鎖)に踏み切った。東南アジアでは変異ウイルスが広がっており、インドネシアやマレーシアも行動制限を強化した。日系進出企業が多く、ビジネスへの影響が広がっている。

タイ政府は9日、首都バンコクなどで行動制限を強化すると発表した。12日から14日間、夜間外出を原則禁止し、日中も不要不急な移動を控えるように求める。ショッピングモールは館内の食品スーパーや銀行を除き営業を禁じる。コロナの第1波があった2020年4月以来の厳しい措置となる。

ベトナムも最大都市ホーチミン市で9日から15日間、不要不急の外出禁止措置が施行された。同市から他地域へ移動する場合は、到着後に14日間の自宅隔離などを求める。正当な理由なく外出した場合は罰則が科される可能性がある。飲食店の持ち帰りやデリバリーサービスも禁止した。

両国はコロナの封じ込めに成功した「優等生」とされていたが、4月以降に変異ウイルスによる感染が広がっている。タイは9日の新規感染者数が9000人を超え、ベトナムも8日に過去最多の1307人を記録した。ワクチンを少なくとも1回接種した割合はタイが12%、ベトナムが4%弱と低い。

東南アジアは他の国もワクチン接種が遅れており、変異ウイルスのまん延で感染状況が悪化している。英オックスフォード大の研究者らがつくる「アワー・ワールド・イン・データ」によると、直近7日間平均の人口100万人当たりの新規感染者数は、マレーシア219人、インドネシア112人、タイ88人。感染が深刻なインド(30人)より多い。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGS092KT0Z00C21A7000000/