→外国人富裕層が大量流入、高級車販売や不動産価格を押し上げ
→どこに住むか好きなように決められる富裕層に人気−現地の運用者

シンガポールの自動車ディーラー、キース・オー氏はフェイスブックのメッセージを最初に読んだとき、偽物ではないかと疑った。中国人の顧客が110万シンガポール・ドル(約9100万円)のベントレーを注文したのだ。

  「値段と納期を尋ねただけですぐ注文した。われわれにとって百万ドルは大金だが、彼らにとっては何でもないのだろう」と同氏は感心する。

  このエピソードは最近の傾向の一端にすぎない。シンガポールには今、かつてないほどお金が溢(あふ)れている。新型コロナウイルスが東南アジアを席巻し政治的混乱が香港を脅かす中で、シンガポールは安全を求める超富裕層の避難先になった。

シンガポールが首位浮上−新型コロナ時代の安全な国ランキング - Bloomberg
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-04-26/QS5FPMDWRGG001
 
https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/i6V4NzKnFpf0/v0/2200x-1.jpg
デンプシー地区のレストラン「Long Beach@Dempsey」Photographer: Wei Leng Tay/Bloomberg

  ユニオンバンケールプリヴェに4年間勤務した後、2015年にウェルス・マネジメント・アライアンスを設立したステファン・レプカウ氏は、「シンガポールは今、どこに住むかを好きなように決められる裕福な人々に選ばれる場所となっている」と述べた。過去1年に外国人顧客2人がシンガポールに移住し、さらに多くが続く見込みという。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/i3yuW1jqGEIc/v0/2200x-1.jpg
オーチャードロードのブランド店にも近いマウント・エリザベス・ホスピタルPhotographer: Wei Leng Tay/Bloomberg

  シンガポールは長い間、買い物をしたりカジノで遊んだり、世界水準の病院で健康診断を受けたりするために短い旅行に来る中国、インドネシア、マレーシアの富裕層に人気だった。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/i0P0..aABqVk/v0/2200x-1.jpg
「アイオン・オーチャード」ショッピングモールPhotographer: Wei Leng Tay/Bloomberg

  しかし新型コロナ流行後は、多くの富裕層がコロナ禍をやり過ごすために何カ月も滞在したり、場合によっては居住権を得たりしている。ジョンズ・ホプキンズ大学のデータによれば、人口に対する死亡者の割合は、マレーシアとインドネシアではシンガポールの10−30倍に上る。

  裕福な住民が増えたことでゴルフクラブの需要は急上昇し、会員権価格も高騰した。セントーサ・ゴルフクラブの会員権は外国人向けで50万シンガポール・ドルとコロナ前から40%値上がりした。

ゴルフ会員権が最高の投資先、コロナ特需で40%上昇−シンガポール - Bloomberg
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-04-08/QR7WMVT1UM0X01

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/i3mwcnpdf5UQ/v0/2200x-1.jpg
タナメラ・カントリー・クラブPhotographer: Wei Leng Tay/Bloomberg

>>2 へ続く

2021年5月28日 10:39 JST
Bloomberg
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-05-28/QTQ23LT1UM0X01