ソフトバンクは6日、楽天グループの携帯子会社である楽天モバイルと、楽天モバイルに転職した元社員に対し、約1000億円の損害賠償請求権を主張する訴訟を東京地方裁判所に提起したと発表した。元社員はソフトバンク在籍中に高速通信規格「5G」の技術情報などを持ち出したとして不正競争防止法違反の容疑で逮捕されている。

ソフトバンクは約1000億円規模の損害賠償請求権の一部として、10億円の支払いを求めた。請求額は「今後の審理の状況に応じて拡張することがある」としている。

ソフトバンクは2020年11月に元社員が持ち出した技術情報について東京地裁に証拠保全を申し立て、同12月には営業秘密の利用停止などを求める仮処分を申し立てている。ソフトバンクは6日の声明で「証拠保全を求めていた電子ファイルが楽天モバイルの利用するサーバー内に保存され、他の楽天モバイルの社員に開示されていた事実を確認している」と説明した。

楽天モバイル側は、ソフトバンク元社員が持ち出した情報を自社で利用したかについて「(元社員が)前職により得た営業情報を弊社業務に利用したという事実は確認しておりません」と21年1月に主張していた。

元社員はソフトバンクに勤務していた19年12月に社外から自分のパソコンで会社のサーバーにアクセスし営業秘密を不正に取得した疑いを持たれている。直後の20年1月に楽天モバイルに転職している。
2021年5月6日 14:48
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC063X50W1A500C2000000/