【ニューヨーク=大島有美子】米カード決済大手のビザは29日、暗号資産(仮想通貨)を使った決済を始めると発表した。法定通貨を裏付け資産とするステーブルコイン「USDコイン」でまず始める。世界最大手のカードブランドが仮想通貨の決済に参入することで、仮想通貨の利用がより身近になりそうだ。

ブロックチェーンの有力プラットフォーム「イーサリアム」を使う。まず仮想通貨関連のサービスを提供する「クリプト・ドットコム」と組んで試行的に実施する。クリプト・ドットコムが提供するビザブランドの前払い式(プリペイド)カードを使った決済の一部をUSDコインで代替できるようにする。USDコインは米ドルに裏付けられている。今後協業先を広げる予定だ。

ビザは仮想通貨のカストディー(資産管理)業務を手掛ける米フィンテック企業、アンカレジと組み、ビザの顧客が仮想通貨を利用しやすくする仕組みを検討してきた。今回の決済もアンカレジとの協力で実現した。

ビザの競合の米マスターカードもステーブルコインによる決済を受け入れる方針を示している。バンク・オブ・ニューヨーク・メロンは暗号資産の管理サービスを21年後半に立ち上げると発表。仮想通貨を決済や資産運用に活用するインフラが広がりつつある。
2021年3月30日 7:14 (2021年3月30日 8:00更新)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN300930Q1A330C2000000/