NTTによるNTTドコモの完全子会社化について、KDDIやソフトバンクなど通信会社28社は11日、公正な競争環境を確保するための措置を求める意見書を武田良太総務相に提出した。審議会などでNTTを交えた公開議論などを求める。ただドコモの完全子会社化を止める手段にはならないとしている。

KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルの担当者は同日記者会見を開き、「(ドコモの完全子会社化で)NTT東西とドコモの資本関係が強化されて市場支配力が生まれ、競争事業者が排除される」などと説明した。

次世代通信規格「5G」を支える光ファイバーの設備でNTT東西は約75%のシェアを持つ。接続料などでドコモに優位な条件になると「ルールが形骸化される懸念がある」(KDDI)。ドコモの完全子会社化は、NTT法で定める事業内容にそぐわないとの見解も示した。

ただ米IT(情報技術)大手が通信関連分野の事業に参入するなど、日本の通信会社を取り巻く環境は変わっている。NTTがTOB(株式公開買い付け)によるドコモの完全子会社化を決めたのも、グループで国際競争力を高めるためだ。

KDDIの担当者は「TOBを止める手はずはないと認識している」とした上で、「TOB後であっても議論は必要だ」と述べた。

NTTは11日、ドコモの完全子会社化について「法規制上の問題はないと考えており、今後とも、公正競争条件の確保に支障が生じることがないよう必要な対応を実施していく」とのコメントを出した。

2020/11/11 13:54 (2020/11/11 14:41更新)
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO66081380R11C20A1TJ2000/