全日本空輸(ANA)は22日、欧州エアバスの世界最大の旅客機「A380」に乗る遊覧飛行を実施した。ハワイ線向けにウミガメのデザインが施された機体は人気が高い。搭乗のための抽選倍率は約150倍で"難関"を突破した乗客334人らが超大型機から日本の景色を楽しんだ。

A380は2019年にハワイ線に投入されたが新型コロナウイルスの感染拡大の影響で路線が運休し、稼働できない状態が続いていた。せめてハワイの気分くらい味わえないかという利用者の要望から、成田空港から富士山を中心に北関東や長野、愛知、三宅島上空を巡って成田に帰る2時間の遊覧飛行となった。

午後2時すぎ、スタッフに見送られ、A380は334人を乗せて成田を出発した。長男(3)と搭乗した千葉県成田市の主婦(36)は「A380に乗りたいと思っていた。(遊覧飛行は)どこにも降りず戻ってくるので新型コロナの感染リスクも低そう。飛行機に乗ること自体久しぶりで子供も楽しんでくれたと思う」という。

日本航空(JAL)の牙城であるハワイ攻略の切り札として投入されたA380だがコロナ禍でハワイ線そのものの再開が見通せない状況が続く。航空機は一定の期間飛行しないと、大がかりな整備も必要になる。需要の急回復が見込めない中、遊覧飛行や旅客便の貨物専用機としての運航など今後もさらに柔軟な活用策が求められることになりそうだ。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO62953050S0A820C2EA5000/