人材サービス大手アデコ(東京・千代田)グループが実施したIT(情報技術)エンジニアを対象とした調査によると、テレワーク経験者の約8割が今後もテレワークの継続を希望していることがわかった。新型コロナウイルスの影響による働く環境の変化で、個人の力を高め自ら解決する能力を身につけたいと考える人が増えるなど就業観にも変化がみられた。

調査はアデコ傘下で技術者派遣のVSNが実施した。調査名は「コロナ禍における働き方に関する意識調査」で、7月21〜23日にインターネットで実施。正社員のITエンジニア男女1000人から回答を得た。

「今後もテレワークを実施したいか」との質問について、政府の緊急事態宣言発令中における1週間あたりのテレワーク実施日数別に集計したところ、週1日以上テレワークを実施した人は75%が継続を望んだ。一方、週1日未満の人で継続を希望する割合は20%にとどまった。

テレワークのメリットについて聞いたところ、最多は「通勤しなくて良い」(65%)だった。次いで「時間配分の自由度が高くなる」(25%)、「プライベートの時間が増える」(24%)、「人間関係の煩わしさがない」(20%)と続いた。

働きたい場所は「国内の好きな場所」(43%)が最多。続いて「必要な時以外は会社以外の場所」(34%)、「自宅」(同)の順に高く、いずれも「決まったオフィス」(20%)を上回った。

エンジニアが技術力以外に習得する必要のある能力については、新型コロナの流行前後で大きく変化した。自ら課題を見つけ解決策を提案できる「コンサルティング能力」に関してはコロナの流行前は27%だったが、流行後は6ポイント増の33%に高まった。一方で「人材育成・マネジメント能力」は4ポイント低下の17%となった。

テレワークにより働く環境は大きく変わった。共同で調査した法政大キャリアデザイン学部の田中研之輔教授は「重視する能力が集団調整型のコーディネーション能力から、個人成果型のセルフパフォーマンス能力へ移行しているのではないか」と分析している。
2020/8/20 10:47
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO62833160Q0A820C2000000/