[東京 25日 ロイター] - ソフトバンクグループ(SBG)<9984.T>の孫正義会長兼社長は25日の株主総会で「当分、配当は期待しないでほしい」と述べた。株主還元としては、すでに大規模な自社株買いの方針を示し、実行してきているとし、理解を求めた。

孫氏は株主から配当の将来像を問われ、「当分、配当などは期待しないでほしいというのが正直な気持ち」と語った。「もちろんいつかはする。できるだけたくさんしたいと思っている」とする一方、足元では株主還元として2.5兆円規模の自社株買いの方針を発表したとし、「こちらを中心に株主還元していきたい」と述べた。

同社は保有資産4.5兆円分の売却・資金化と、2.5兆円の自社株買いの方針を3月に発表していた。自社株買いはこれまでに1兆円の枠を取締役会で決議し、5000億円の取得を実行したと発表している。孫氏は「一歩一歩、やっていく」との方向性を示し、「こちらを中心に株主還元していきたい」と述べた。資産4.5兆円の売却・資金化は約8割を終え、残る2割も「めどがついている」とした。

孫氏は5月の決算発表会見で、新型コロナウイルスの影響を踏まえて資金がさらに必要になる事態もあり得るなどとして、20年度の配当は「ゼロ配当もあり得る」と述べていた。20年3月期の年間配当は前期から横ばいの44円。

孫氏は、営業利益や純利益より「特に関心を持って見ている」という株主価値について「コロナ前より増えている」とアピールした。同社の株主価値は、昨年末時点が23.0兆円だったが、コロナ禍で3月末時点では21.7兆円に低下した。その後、株式相場は回復基調をたどり、24日時点での株主価値は23.3兆円になったと説明した。

TモバイルUS株の一部売却にも言及し、投下資本0.4兆円が約7年間で1.9兆円となり「5倍近いリターンを得た。IRR(内部収益率)では年率25%の利回りで成長できた」と強調した。投資する際に巨額の借り入れをしたことで「失敗」と批判されてきたと振り返りながら、「無事成長して価値を得ることができた」と述べた。同社の成長は続くとし、残る保有株の価値向上にも期待を示した。
https://news.yahoo.co.jp/articles/095b3cdd13d24423ebc22b07e917d67881bad7e2