韓国・ソウル市の南に住む57歳のトラック運転手、イ・ジョンチョルさんは、政府から40万ウォン(約3万5000円)の新型コロナウイルス対策の給付金を受け取るのに1分しかかからなかったと話す。

韓国の280万世帯は給付金の受給に全く時間がかからなかった。申請しなくても自動的に銀行口座に振り込まれたからだ。

一方、東京都世田谷区では、10万円の特別定額給付金を申請しようとする数百人の人が区役所の外で何時間も並ばなければならなかった。これらの人の多くは、本来なら自宅で完了するはずのオンライン申請を行おうとしたが、暗証番号の再設定は窓口でしかできないため、行列に並ぶことを余儀なくされた。
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こうした状況の中、美容師の佐藤恵美子さん(41)は多くの日本人と同様、申請書類が郵送されるのを待つ方が手間が少ないという結論に達した。埼玉県で小さい子供2人と暮らすシングルマザーの佐藤さんは「国の政策、それからやり方が古いなというのを今回すごく痛感した」と語った。

日韓は給付金の財源となる補正予算をまとめるまでの道筋は極めてよく似ていたものの、支給のスピードと効率は対照的だ。IT化が進んだ韓国の行政インフラが、紙中心の日本のアプローチよりも迅速な行動に適していることが鮮明となった。

韓国行政安全省の集計によると、19日の時点で80%の世帯に給付金が支給された。

それに対して、日本人はそもそもいつ給付金が受け取れるのかを知りたいと思っている状態だ。総務省によれば、日本の自治体の72%が申請書類の郵送を始めているが、実際に郵送申請に応じて銀行口座への振り込みを開始した自治体は19%にとどまった。

花店と音楽スクールを営んでいる個人事業主の小林奈美さん(39)は、3月に行われた安倍晋三首相および閣僚と個人で仕事をする10人の聞き取りに出席し、生活が苦しいことについて首相に個人的に話す機会があった。

だが、小林さんはまだ政府の給付金を待っているところだ。10万円の給付金をオンラインで申請しようとしたものの、アクセス集中でシステムがクラッシュしたため申請書が郵送されるのを待つことにしたが、「何も来ていなくて、本当にほぼあきらめというかもういいやという感じだ」と話した。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-05-21/QANJKBT0AFB401