ルネサスエレクトロニクスは13日、医療や産業機器向けの半導体の新製品を発売したと発表した。圧力や温度など多様なアナログ信号を1つのチップでデジタル処理でき、機器の開発設計の自由度を高められるという。あらゆるモノがネットにつながる「IoT」機器のほか、新型コロナウイルスの感染拡大で需要が高まる人工呼吸器や赤外線体温計など医療用機器などの需要を取り込む。

「ZSSC3240」はセンサーで捉えたアナログ信号を増幅したり、デジタル処理したりできるように変換する「センサーシグナルコンディショナー」と呼ばれる半導体の新製品。4ミリメートル四方のパッケージで、1万個を一括購入した場合の参考価格は1個あたり1.57ドル(税抜き)となる。

アナログ信号をどの程度の細かさでデジタルに表現できるかを示す分解能は業界最高級の最大24ビットで、水や空気の振動など微細な信号を正確に読み取れる。機器の誤作動を防止するため、チップが正常に作動しているかどうかを自己診断できる機能も備える。

ルネサスは2019年に米インテグレーテッド・デバイス・テクノロジー(IDT)を買収し、音波や熱などアナログ信号をデジタルに置き換える半導体を強化。産業・医療分野を成長の柱に据えている。(広井洋一郎)

2020/5/13 13:10
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO59027950T10C20A5X35000/