【シリコンバレー=奥平和行】米アマゾン・ドット・コムが30日に発表した2020年1〜3月期決算は、売上高が前年同期比26%増の754億5200万ドル(約8兆900億円)だった。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い各地で外出規制が広がり、インターネット通販の需要が増えた。売上高は1〜3月期として過去最高を更新した。

純利益は物流費などの経費増加が響き、前年同期比29%減の25億3500万ドルだった。1株利益は5.01ドル(前年同期は7.09ドル)。売上高が市場予想を上回る一方で1株利益は未達となり、30日の米株式市場の時間外取引で株価は一時、同日終値より5%超下落した。

同日の声明でジェフ・ベゾス最高経営責任者(CEO)は「現在の危機は当社の事業の対応力や耐久性を示す一方、これまで直面した中でもっとも厳しい時期を迎えている」と指摘した。主力のネット通販に加えて利幅の大きいクラウドコンピューティング事業が伸び、四半期の売上高が初めて100億ドルを超えた。

アマゾンは長年にわたる物流網やデータセンターへの投資が奏功し、新型コロナの影響が広がる中で顧客の支持を得た。利用拡大に対応して3月に10万人を採用する計画を公表し、4月半ばに追加で7万5000人を雇う方針を示した。一方、物流センターにおける感染防止策などが不十分だとして一部社員が抗議している。

30日の説明でアマゾンは社員を対象とした取り組みに重点を置き、ベゾスCEOは「4〜6月期は40億ドル規模の営業利益を見込んでいたが、同額かそれ以上を新型コロナ対策に使う」と述べた。社員が使う保護具の購入や消毒の強化などが対象で、4〜6月の営業損益は15億ドルの黒字〜15億ドルの赤字(前年同期は30億8400万ドルの黒字)になるとの見通しを示した。
2020/5/1 6:13
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO58688420R00C20A5I00000/