東京都は13日、新型コロナウイルスの感染拡大防止のために休業を求める施設や店舗の詳細な業態をまとめた。床面積100平方メートル超のネイルサロンやエステサロンが休業対象となった一方、マッサージ店は対象外で、関連した業界でも判断が分かれた。「生活に不可欠かどうか」が判断基準の一つだが、個人の生活観に関わるだけに議論を呼びそうだ。

教育関連では100平方メートル超の学習塾や大学に休業への協力を依頼しているのに対し、家庭教師は対象外とした。学校の休校がゴールデンウイーク明けまで続く見通しで、子供の教育の遅れや休業中の学力格差拡大を懸念する声もある。

人が多く集まる「集会施設」には休業を求めているが、神社や寺院、教会といった宗教関連施設は例外とした。ペットショップには休業を求めるが「ペットフード売り場を除く」とただし書きを付け、ペット飼育に支障がないよう配慮した。生花店は要請の対象外とすることで落ち着いた。

多様な業態が入居するショッピングモールは慎重な検討を重ねた結果、生活必需品の売り場は休業対象外とした。同じ施設内でも「生活に不可欠かどうか」で対応が分かれた格好だ。

ただ、生活に不可欠と感じるサービスや商品は人によって異なる。都の線引きで曖昧さが見られる代表的なケースが「本屋」と「古本屋」の対応の違いだ。本屋は「社会生活を維持するうえで必要な施設」として休業要請の対象外。一方、一定以上の床面積を持つ古本屋には休業への協力を依頼する。新品と古本を両方扱う店舗もあり、消費者や事業者が戸惑う場面もありそうだ。

銭湯は社会生活に必要として休業を求めないものの、大規模な「スーパー銭湯」は要請対象となる。似たような施設でも規模や細かい業態の違いで判断が分かれるため、事業者や住民にはきめ細かい説明やPRが求められそうだ。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO58003190T10C20A4L83000/