新型コロナウイルスの感染拡大が、ついに雇用にも影響を及ぼし始めた。「当初は、直接的にコロナウイルスの影響を受けたのは、飲食などの営業時間短縮によるアルバイトなどに代表される非正規雇用者でした。しかし、現在は観光業をはじめとして幅広い業界でリストラが広まろうとしています」。そう分析するのは人気アナリストの馬渕磨理子氏だ。今後、感染拡大が長引けば、コロナ大不況でリストラされるのは誰なのか。最悪のシナリオを解説する。

コロナショックでテレビ局が笑えない状況に
先日、日本政府は、新型コロナウイルス感染症に関する緊急対応策を発表しました。その一つが、非正規雇用者を対象とした「個人向け緊急小口資金等の特例」。予算207億円を投じたこの特例、非正規雇用者への緊急小口の額を10万円から20万円に拡充させ、さらに無利子、償還免除などの優遇措置を設けるというものです。しかし、これはあまりにも心もとない金額。今回のコロナ不況により、フリーランスや非正規雇用者の中には取引先からの事実上のリストラを通達されるケースも目立っています。

イベント業や飲食業などはコロナ不況のダメージを受けた業界として真っ先に思い浮かびますが、意外な打撃を受けているのがマスコミ業界。新型コロナの影響で、イベントなどのCMが差し替えられるなど、広告収入の大幅な減少が見込まれるテレビ局では、非正規雇用者の契約更新を急遽きゅうきょ白紙に戻すケースが出始めています。テレビ局に襲いかかる売上減少の原因は広告収入だけではありません。毎年、キー局や地方局では7月ごろにスポンサー企業を募り大規模なイベントを開催するのが通例となっていました。今年はそのイベント開催中止が危ぶまれています。フジテレビならば「ワンガン夏祭り」、テレビ朝日ならば「テレ朝夏祭り」、日本テレビならば「超☆汐留パラダイス!」といったように、4月ごろには夏に向けてイベント開催に向けて動き出すのが通年の動きでしたが、仮に開催できたとしても規模縮小を余儀なくされることは間違いありません。

「雇われる側」がコロナ不況で負けない方策
こうした収束の見通しがなかなか立たない中での大幅なリストラ、訪日外国人観光客によるインバウンドの減少、各種イベントの中止が広がったことで、現在少なくとも3兆円近い“コロナ不況”が想定されています。そんなときに、雇われる側として必要とされる人材になるためにはどのような特徴を備えていればよいのでしょうか。

それは「専門性を高める」「マネジメントができる」「ファミリーと認識される」の3つに収斂しゅうれんされます。まず、自分の努力でできることが「専門性を高める」こと。マーケティング・財務会計・プログラミング・編集などのスキルがあることに加え、社外との豊富な人脈を持つなど、組織の中で自分にしかできない仕事をアウトプットし続けることで、所属する会社へ大きく貢献できます。

次に、組織にとって最も要になるのが「マネジメントをできる」人材になること。経験や知識、コミュニケーション能力はもちろんのこと、戦略を立て、ネゴシエーションまでこなせる能力があれば、会社組織においてはマネジャーとして重宝されます。一朝一夕に身につく能力ではないですが、コロナ不況の中でも社員のモチベーションを管理できるマネジャーは会社にとって絶対にクビにできない人材。最近ではMBAなどの資格を持ってマネジャー職を経験するビジネスパーソンも目立っています。
以下ソース
https://president.jp/articles/-/33809