大阪商工会議所は12日、時差出勤やテレワーク(在宅勤務)の導入、子育て中の従業員の休暇取得促進など、新型コロナウイルスの感染拡大防止に向けた企業の対応状況に関する緊急調査結果を公表した。大手企業では対応が進む一方、中小企業では人手不足やIT化の遅れなどを背景に対応が進まない現状が浮き彫りになった。

 調査は489社を対象に実施し、有効回答率は56.2%(275社)。手洗いや消毒液設置などの感染予防は8割超の企業が行っているが、政府が奨励する「時差出勤」は大企業(資本金3億円超)は83%が取り組んでいるのに対し、中小企業(同3億円以下)は20.7%にとどまった。テレワークも大企業は54.7%が実施している一方、中小企業は9.5%だった。

 時差出勤が困難な理由は「社員が少なく、朝の業務対応ができなくなる」ことなどがあった。テレワークができない背景には「必要なITシステムが整っていない」(建築材料卸)「仕入れ先との対面での打ち合わせが必須」(金属製品製造)などの声が上がった。

 学校の休校措置を踏まえた対応も、「有給休暇の取得奨励」は大企業の58.5%が実施しているのに対し、中小企業では40.1%だった。逆に「特段の対応は取っていない」と答えた大手は7.5%だったが、中小は41.9%に上った。人員に余裕がなく、他の従業員の負担が増大することなどが背景にあるという。

 大阪商工会議所の担当者は「多くの中小企業は現在、経営が急激に悪化し、従業員の給与支払いの維持などが喫緊の課題になっている」と分析し、政府が奨励する対策も「容易には取れない状況」としている。
2020年03月16日 07時00分
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2003/16/news044.html