内閣府が9日発表した2月の景気ウオッチャー調査(街角景気)によると、3カ月前と比べた足元の街角の景気実感を示す現状判断指数(DI、季節調整済み)は27.4と前月から14.5ポイント低下(悪化)した。4カ月ぶりの悪化で、東日本大震災直後の2011年4月(23.9)以来の低水準だった。内閣府は現状の見方を「新型コロナウイルス感染症の影響により、急速に厳しい状況となっている」に下方修正した。

分野別にみると、指数を構成する家計動向、企業動向、雇用がいずれも前の月から悪化した。新型コロナウイルス感染症をめぐっては「中国向けの受注や新企画の立ち上がりがすべて先送りになってしまっている」(南関東のプラスチック製品製造業)、「広報や宣伝もキャンセルが続き、広告収入の激減が止まらない」(北陸の新聞社)など、事業に影響が出ているとの声が多くあった。

2〜3カ月後の景気の良しあしを判断する先行き判断指数(DI、季節調整済み)は24.6と前月から17.2ポイント低下し、3カ月連続で悪化した。09年1月(23.8)以来の低水準となる。新型コロナウイルス感染症の収束がいつになるか不透明だとする事業者の声が目立った。

先行きについても現状判断指数と同様、家計動向、企業動向、雇用のいずれも前月から悪化した。特に観光業をはじめとするサービス関連や百貨店で大きく落ち込んだ。「先行きが不透明で、中国の生産や物流関係が元に戻るにはまだ時間がかかる」(中国地方の百貨店)、「感染の拡大が止まらない現状から、すでに6月の案件にまで影響が出始めている」(北関東の旅行代理店)と事態の長期化を見込む声も出た。

調査期間は2月25日から同月末。内閣府は先行きについて「一段と厳しい状況になるとみている」とまとめた。今回の調査では新型コロナウイルス感染症に関するコメントが現状判断指数で788件、先行き判断指数では1059件寄せられた。

〔日経QUICKニュース(NQN)〕

2020/3/9 15:03
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXLASFL09HOK_Z00C20A3000000/