原子力規制委員会は26日、東北電力女川原子力発電所(宮城県女川町、石巻市)2号機について、安全審査の合格を正式に決めた。2013年にできた新規制基準に基づく審査合格は東北電の原発では初めてだ。再稼働には安全対策工事の完了や地元自治体の同意が必要で、20年度以降となる。

審査合格は18年9月の日本原子力発電東海第2原発(茨城県東海村)以来で9原発16基目となる。11年3月の東日本大震災で被災した原発では、東海第2に続く2基目となる。

規制委は今後、設備の詳細な設計をまとめた「工事計画」の確認や、原発の運転や管理のルールを定めた保安規定の審査を進める。これらを終えるのに数カ月かかるとみられる。

女川原発は東日本大震災の震源に最も近く、高さ約13メートルの津波に見舞われた。敷地の高さが14.8メートルだったこともあり、東京電力福島第1原発のような事故には至らなかった。

規制委は大震災の影響で炉心溶融事故を起こした福島第1事故の反省をもとに新規制基準を作成。これに合格した原発のみ稼働を認めている。東北電は13年12月に規制委に対して、新規制基準に基づく女川2号機の安全審査を申請した。

東北電は新規制基準に沿って津波や地震動の想定を引き上げて、海抜約29メートルの防潮堤を設置するなど安全対策を強化した。規制委の審査では、大震災に見舞われた原子炉建屋などが今後起きる地震にも耐えうるかどうかを時間をかけて確かめた。

東北電は1〜3号機のうち老朽化した1号機の廃炉を決めて、2、3号機の再稼働を目指している。女川2号機の安全対策には約3400億円を投じる見通しで、20年度の工事完了を見込んでいる。再稼働には地元自治体の宮城県、女川町、石巻市の同意が必要になる。

2020/2/26 11:09
日本経済新聞
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