任天堂対コロプラの訴訟は、ボランティア的な方がたまに裁判書類を閲覧してネットで公開してくれている以外、なかなか情報が出てこないですが、コロプラとしては、差止めを命じられてから対応すると最悪サービス中断という羽目になってしまうので、早目に対応したものと思われます。もう一つの可能性としては、訴訟が損害論に入って損害賠償額が思ったより高くなりそうなことがわかったので、これ以上賠償額が増えないようあわてて設計変更したのかもしれません。なお、設計変更によって特許権侵害を回避しても、過去の侵害による損害賠償の責は負います。

この特許に関するもう一つの情報としては、昨年の11月18日に任天堂による訂正審判で訂正を認める審決が出ていることがあります。訂正審判とは、既に登録されている特許に対して権利者が変更を行なうための審判です。既に権利化された特許の権利が後から広くなったりすると他社はたまりませんので、権利範囲を狭くする変更に限る等の厳しい要件が求められます。この訂正審判では、「ポインティングデバイス」を「タッチパネル」に「オブジェクト」を「プレイヤキャラクタ」に変更すること等が請求されていますが、いずれも適法な訂正として認められています。一般に、訂正審判は、訴訟中に被告側が特許の無効を主張した際にその対抗策として行なわれます。さらに、この訂正審判では、侵害訴訟におけるコロプラ側の無効の主張についても検討されていますが、特許庁審判官は訂正後の本特許には新規性・進歩性があるとの結論を出しています。この訂正審判により、任天堂は、コロプラの特許権侵害状態を維持しつつ、無効を回避できるようちょうど良い塩梅で権利範囲を限定できたと言えます。

ということで、少なくともこの特許については任天堂の勝利は間近という状況だと思われます。

2/18(火)
https://news.yahoo.co.jp/byline/kuriharakiyoshi/20200218-00163664/