【ワシントン=鳳山太成】米司法省は13日、北朝鮮との取引を隠したり米国企業から企業秘密を盗んだりしたとして、中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)を詐欺罪などで追起訴した。2019年1月にイランとの違法取引を巡って起訴したが、北朝鮮との関与も指弾した。トランプ政権が同社に対する禁輸措置の強化に動く可能性がある。

被告はファーウェイ本体と米国の研究拠点など関連会社4社、創業者の娘である孟晩舟・副会長兼最高財務責任者(CFO)。不正な利益取得や銀行詐欺など16の罪で起訴した。

起訴状によると、米国や国連が経済制裁を科している北朝鮮に対し、ファーウェイは製品を販売していたにも関わらず社内で隠蔽工作を図り、取引金融機関には「一切の取引はない」と虚偽を説明していたという。

このほか、米国企業からソフトウエアの設計図となるソースコードや、通信機器のマニュアルを盗み出した罪も取り上げた。情報を盗み出した従業員には報奨金を出していたと指摘している。

米司法省は19年1月、イランと違法に取引したり、米通信大手TモバイルUSから携帯電話の品質管理ロボットに関する情報を盗み出したりしたとして、詐欺罪などで同社と孟氏を起訴した。孟氏はカナダ当局に拘束され、米政府は身柄の引き渡しを求めている。ファーウェイは「違法行為はない」と全面的に否定している。

米商務省は19年5月、起訴を受けて事実上の禁輸措置を発動した。同省は現在、制裁の強化を検討しており、今回の起訴を受けて実行に動く可能性がある。

中国は強く反発しそうだ。トランプ政権は14日、貿易交渉を巡る「第1段階の合意」が発効するのに伴い、制裁関税の一部を引き下げる。ただハイテク分野では強硬姿勢を崩していない。

英国が次世代通信規格「5G」でファーウェイ製品の使用を一部容認するなど柔軟な対応を示す国も増えている。ファーウェイを新たに起訴することで、同社製品を完全排除するよう他国に改めて圧力をかける狙いもありそうだ。
2020/2/14 5:30
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO55614260U0A210C2000000/