【シリコンバレー=佐藤浩実】米調査会社のIDCは30日、2019年の世界のスマートフォンの出荷台数が18年比で2%少ない13億7100万台だったと発表した。高速通信網「5G」に対応する機種や画面を折り畳めるスマホが登場したものの、中国市場の停滞の影響をぬぐえなかった。20年は14億台規模への回復を見込むが、新型肺炎に伴う部品調達網の混乱などが影を落とす可能性がある。

IDCの最新データによれば、スマホの出荷台数が前年実績を下回るのは2年連続。18年が4%減だったのと比べるとマイナス幅は縮小したが、世界的なスマホ市場の成熟は一段と鮮明になった。

企業別では韓国のサムスン電子がシェア22%で首位を守った。米国による制裁の影響が懸念された中国・華為技術(ファーウェイ)は中国国内や欧州での販売拡大に注力し、出荷台数は17%増の2億4060万台。シェアは18%と前年より約3ポイント上昇し、通年でアップルを抜いて2位に浮上した。

3位のアップルはカメラ機能を強化しながら価格を抑えた「iPhone11」が好評で10〜12月期に販売を伸ばしたものの、通年の出荷台数は9%減の1億9100万台にとどまった。シェアは14%。4位は中国・小米(シェアは9%)、5位は同OPPO(同8%)だった。トップ5圏外の企業では淘汰が続いた。

IDCは20年の出荷台数を14億台と予想。世界で5G対応スマホの販売が本格化するため、3年ぶりのプラスに転じるとみる。ただ足もとでは中国湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルスによる肺炎の影響で「中国全域の販売に影響が出ている」(アップルのティム・クック最高経営責任者=CEO)。新型肺炎は中国に集中するスマホの部品供給網(サプライチェーン)にも影響を及ぼしており、不透明な状況が続きそうだ。
2020/1/31 5:31
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO55073100R30C20A1000000/