京都大学の福岡隆夫研究員らはナノ(ナノは10億分の1)メートルサイズの金微粒子を使い偽造防止用タグを開発した。商品の在庫管理など向けに普及するICタグより安価で、医薬品の表面などに直接印刷することも可能だ。医薬品卸会社と協力し、2月からサプライチェーンの安全性強化を目指した実証実験を始める。

金ナノ粒子にあらかじめ特定の化学物質をくっつけた。レーザー光を当てると波長が変化した光が返ってくる「ラマン散乱」と呼ぶ現象を用いた。金ナノ粒子は光を強める効果があり、波長は化学物質の種類ごとに異なる。これを測り、特定の化学物質から出る波長と照らし合わせ、本物と偽造品を素早く区別する。

ナノ粒子は微量で済む。約5000種類の化学物質が使えるため、偽造は困難という。ナノ粒子を含むインクを薬の表面に印刷し、室温で5年以上保管した後も波長を検出できることを確かめた。家畜や食品などの識別にも使いたい考えだ。

2020/1/27 10:00
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO54742950T20C20A1000000/