京都アニメーションのスタジオ(京都市)で起きた放火殺人事件で、死亡した社員らの労災が認定され、補償の支給が始まったことが15日、複数の遺族への取材で分かった。申請した遺族によると、昨年11月に支給決定通知書が届き、既に一部が口座に振り込まれたという。

京都労働局によると、労災は仕事中に死亡したり、けがをしたりした場合に申請し、労働基準監督署が調査して支給を個別に検討する。労災が認められるためには、仕事中かどうかの「業務遂行性」と、仕事が原因かどうかの「業務起因性」を満たす必要がある。

事件では、第1スタジオにいた社員70人のうち、36人が死亡し、33人が重軽傷を負った。京都労働局は「個人情報に関わる」として、認定件数や詳細を明らかにしていない。京アニの代理人弁護士は「労災認定に関しては把握していない」と話している。

犯罪被害者を巡っては、1995年の地下鉄サリン事件で、通勤中や仕事中に巻き込まれた被害者に対して労災が適用され、国内で認定する動きが進んだ。2001年に青森県弘前市で発生した武富士弘前支店の放火殺人事件でも、死傷した従業員らの労災が認められている。〔共同〕

2020/1/15 12:48
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO54402660V10C20A1AC1000/