経営危機に陥っている日の丸液晶メーカー・ジャパンディスプレイ(JDI)が、抜き差しならない状況に追い込まれている。2000億円の血税を投入したにもかかわらず、5期連続の赤字で債務超過に陥っているだけでも大問題だが、従業員による5.7億円の横領と粉飾決算疑惑まで出てくる始末だ。

安易に税金を投入するとモラルハザードが発生するというのは、古今東西を問わない普遍的な法則であり、JDIはまさにその教科書といってよい。

債務超過に従業員の横領、粉飾決算疑惑まで…
ジャパンディスプレイは、日立製作所、東芝、ソニーの中小型液晶パネル事業を統合して2012年4月に発足した。同社には国策ファンドの産業革新機構が2000億円を投じ、発足から約2年でスピード上場したものの、業績を下方修正。その後、業績はさらに悪化して5期連続の赤字となっており、2019年9月末時点で1000億円超の債務超過に陥っている。湯水のごとく赤字を垂れ流しているという表現があるが、JDIはまさにその典型といってよい。

あれだけ「国家主導」を強調しておきながら、政府は同社にサジを投げてしまい、世耕弘成経済産業相(当時)が「高付加価値の事業を打ち出せなければ、政府としてはJDIの外国企業との連携や売却もあり得る」と発言するなど、外国に売り飛ばす可能性すら示唆する状況となった。

実際、JDIに対しては中国の投資ファンドが救済に名乗りをあげ、一時は中国系の投資家グループの傘下に入るというプランでまとまりかけた。だが、同社の経営状況の悪さに中国系の投資家グループも出資を断念し、外国に売却するという選択肢も消えた。
以下ソース
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/68876