財務省は30日に開いた全国財務局長会議で10月の経済情勢報告をまとめた。全国の景気判断は8期連続で「回復している」に据え置いた。地域別では全11地域のうち10地域が前回の判断を維持したが、北陸が2013年1月期以来、27期ぶりに総括判断を下方修正した。生産活動の基調判断を3期連続で下方修正したことを考慮した。地域の財務局が総括判断を下方修正するのは、豪雨被害の影響で中国財務局が下方修正した2018年10月期以来となる。

北陸財務局は総括判断を「緩やかに拡大しつつある」から「拡大に向けたテンポが緩やかになっている」に下方修正した。財務省は「同地域は生産用機械や電子部品などが強い地域で、足元の海外経済の影響を受けやすかった」と指摘し「生産活動の基調判断を3期連続で下方修正したことなどを受け、総括判断も下方修正した」という。

北陸では「米中貿易摩擦に伴う中国経済の減速で投資への慎重姿勢が広がり、中国向けが弱含んでいることに加え、インド向けも取引先の資金調達環境の回復が遅れて動きが鈍い」(生産用機械、大企業)などの声が出ていた。

個別項目でみると、個人消費、雇用情勢は、全ての地域が基調判断を据え置いた。生産活動の基調判断は、近畿が上方修正した。東海など6地域が判断を据え置き、北海道、東北、関東、北陸の4地域が下方修正した。

生産活動の基調判断を上方修正した近畿では「国内自動車販売の好調さを背景に車載電池の売り上げが増加しているほか、データセンターなどに用いられる産業用リチウムイオン電池も前年・前四半期と比較して好調に推移している」(電気機械、大企業)といった声が聞かれた。

今後の各財務局の先行きについて、財務省は「当面弱さが残るものの、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果があって、景気が回復してくることが期待される」とまとめた。一方で「中国経済の先行きなどの海外経済動向や金融資本市場の変動の影響、消費増税や台風などの自然災害の経済に与える影響に十分、留意する必要があるといった報告が各財務局からなされている」とした。

財務省は全国の財務局の管内経済情勢を企業への聞き取り調査などに基づいて3カ月ごとに分析し、景気判断を公表している。

〔日経QUICKニュース(NQN)〕

2019/10/30 13:00
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXLASFL29HQE_Z21C19A0000000/