「ひきこもり11年目。今振り返れば、学校でいじめられていたのは、どこか他の子とは変わっていたからだと、発達障害からきているのではと思い返しています」
「現在無職で、精神障害と発達障害を抱えています。ひきこもりから脱出する術を見失っています」
NHKの特設ウェブサイトに届いた声です。これまでに寄せられた1400通を超える投稿の中に「発達障害」についての悩みを訴えるケースが数多くありました。発達障害のため、周囲とのコミュニケーションがうまくいかず、社会的に孤立したり、「いじめ」や「職場でのパワハラ」の原因になって、結果的にひきこもった、という声もありました。
(ネットワーク報道部記者 管野彰彦 高橋大地 クローズアップ現代+ディレクター 中松謙介)

“32%が発達障害と診断”
ひきこもりと発達障害は関連があるのか。

今月26日、2つの関連性についての調査結果が、名古屋市で開かれた「発達障害とひきこもり」をテーマにしたシンポジウムで発表されました。

発表したのは、新潟県長岡市でひきこもり外来を開いている「ながおか心のクリニック」の精神保健福祉士、河合純さん。

ことし1月から8月までにひきこもり外来を受診した人たちを対象に調べたところ、67人のうち発達障害と診断された人は22人に上ったと明らかにしました。

その割合は、32.8%でした。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191028/K10012154161_1910282037_1910282054_01_05.jpg

シンポジウムでは、専門家から発達障害によって、社会性やコミュニケーションに問題があることで、ほかの人と比べて支援を求めにくい現状があるため、支援の輪から見過ごされている人も多いのではないかという指摘も出ていました。

また、厚労省の研究班が2007年から2009年にかけて行った調査でも、山梨県などの精神保健福祉センターにひきこもりの相談に来た当事者148人のうち、発達障害の診断を受けた割合は約35%という結果が報告されています。

「ひきこもり」と「発達障害」。この2つが重なることで、どのような状況に置かれているのか、実際に投稿を寄せてくれた人たちに会いに行くことにしました。
「溶け込めない」、そしてひきこもりに
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191028/K10012154161_1910282033_1910282054_01_06.jpg

愛知県に住む小崎悠哉さん(39)。小崎さんがひきこもり始めたのは、中学2年生のころ。同級生からいじめを受けて不登校になり、それから20年以上ひきこもったままです。うまくコミュニケーションがとれない、周りに溶け込めないという感覚は、幼稚園のころからあったといいます。

「日直の時にみんなの前で自分の名前を言うんですけど、『みんな僕の名前を知ってるのに、なんでこの場で言う必要があるのかな』って思って、言わなかったんです。あと、僕のせいで、僕のクラスだけお遊戯ができなかったこともあったり…。なんで、みんなのように普通に、うまくできないのかなって常に思っていました。考えてみると、その後、中学校でいじめを受けたのも発達障害のせいだったのかもしれません」
「もっと早く診断されていたら…」
保健所の電話相談に頻繁にかけすぎて相談員に迷惑をかけてしまう。メッセージアプリでつながることができた人に大量のメッセージを送りすぎて返事がなくなり、それに怒りをおぼえてさらに送ることで相手が離れていってしまう…。人との距離感をうまくつかむことができず、トラブルになってしまうことは今も続いていると言います。

「気になったらとことん言ってしまう」、小崎さんは自身の特性についてそう語ります。

実は、小崎さんが発達障害と診断されたのは、30歳のころ。ひきこもってから15年ほどたったあとでした。
以下ソース
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191028/k10012154161000.html