ビール各社が、ノンアルコールビールテイスト飲料の販売に力を入れている。今月1日の消費税増税でビールの税率が8%から10%に上がる一方、ノンアル飲料は軽減税率の対象で8%のまま。これが追い風になると見て、機能性表示食品など健康面の魅力をうたう新商品を投入し、市場の拡大を目指す。

「おなかまわりの脂肪を減らします」。今月中旬、福岡市のスーパー店頭でキリンビールの社員らが15日発売のノンアルビール「カラダFREE(フリー)」の試飲缶を配ってPRした。脂肪を減らす効果がある機能性表示食品として、健康志向の愛飲家を狙う戦略だ。

 キリンの推計では、ノンアルビール市場は年約1割の拡大が続く一方、飲む人の数はビールの3割程度で、伸びしろは大きい。ビールが増税前の買いだめの反動で足元の販売が落ち込む一方、ノンアルビールの販売は横ばいを維持しており、担当者は「増税後のタイミングで発売した。シェアを伸ばすチャンス」と意気込む。

 健康面での魅力を高めて需要を掘り起こすのは他社も同様だ。サントリーは今年7月に脂肪を減らす成分を含んだ機能性表示食品の「からだを想うオールフリー」を発売。15日に6缶パックに1缶おまけした「休肝日お試しパック」を限定販売した。サッポロビールも、尿酸値を抑えるノンアルビールを開発中で、10〜11月は現行商品の増量缶などで対抗する。
https://mainichi.jp/articles/20191024/k00/00m/020/262000c