財務省は23日、財政制度等審議会(財務相の諮問機関)の分科会の歳出改革部会を開き、防衛予算などを議論した。防衛省が8月末に提出した令和2年度予算の概算要求では航空機関連で「まとめ買い」がみられるが、財務省は「徹底した単価削減を行うことが大前提」とし、安易にまとめ買いに走らないよう求めた。

 防衛省は概算要求で、航空自衛隊の空中給油・輸送機や陸上自衛隊の輸送ヘリコプターなどでまとめ買いを示した。これについて財務省は、1機当たりの要求単価をみると、過去の調達予算単価を上回っている事例があると指摘。陸自の輸送ヘリは防衛省の要求単価が1機当たり79億円なのに対し、過去の調達予算単価は74億円だったという。

 その上で財務省は、まとめ買いには一定の単価削減効果がある半面、高額な防衛装備費を複数年度に分けて支払う後年度負担も増えるため後に防衛予算の硬直化を招くとして、「単価削減が不十分なまま、安易にまとめ買いに頼ることは慎重であるべきだ」とした。

 また、防衛省がまとめ買いでの購入を求めている装備品の中には、日本企業が外国企業と契約して技術を導入し国内で製造する「ライセンス国産」方式による調達も含まれている。この方式について財務省は「輸入に比べて調達価格が割高になる傾向がある」とし、「他の調達方法と比べて、合理的な理由がある場合に限定すべきだ」と求めた。

 委員からは「防衛省のコスト意識やコスト管理が甘い。厳しくみていく必要がある」との意見が出た。

 このほか、中小企業予算のあり方も議論。中小企業は経営者の高齢化と人手不足という課題に直面しているとした上で、補助金は設備投資やIT投資などの生産性向上策に意欲的な中小企業への支援に重点化するべきだと問題提起した。

 外交関連では、政府開発援助(ODA)の一環で、必要な資金を相手国に贈与する「無償資金協力」を取り上げた。近年は当初予算額で1600億円程度で推移しているが、対象となる地域や支援する分野を組み合わせた上で、重要な外交日程などを考慮して、予算のメリハリをつけることが検討課題になるとした。

2019.10.23 12:57
産経ニュース
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