【ニューヨーク=大島有美子】ソフトバンクグループと経営難に陥っている米シェアオフィス大手ウィーワークを運営するウィーカンパニーは22日、ソフトバンクグループのもとで経営再建を進めると発表した。ソフトバンクグループがウィー株の過半数を握るほか、ウィー創業者のアダム・ニューマン氏は取締役から退く。ソフトバンクグループは総額で95億ドル(約1兆300億円)の資金を投じる。

金融支援では既に約束している15億ドル分の新株引受権を行使してウィーの株を買い取るほか、最大30億ドル分を既存株主から買い取る。合計でソフトバンクグループは45億ドル分の株式を購入することになる。このほか、協調融資(シンジケートローン)や社債発行で50億ドル分を新たに支援する。

ニューマン氏は9月にウィーの最高経営責任者(CEO)を退き、会長職についていた。ニューマン氏はウィーの取締役から退き、経営から外れる。会長にはソフトバンクグループ幹部で、子会社の米通信大手スプリント会長を務めるマルセロ・クラウレ氏が就く。

ウィーの6月末時点の現金は25億ドルで、赤字が続いていることから資金繰りに対する懸念が強まっていた。ウィーの支援を巡っては米銀大手のJPモルガン・チェースが社債発行を軸とした50億ドル規模の支援策を提案しており、ウィーがどちらの支援策を選ぶかが市場の注目を集めていた。

米投資銀行ウェストウッド・キャピタルのマネージングパートナー、ダン・アルパート氏はソフトバンクグループが経営を主導することによって、「積極的に不動産の負債を整理し、再建に向けて最適化していくだろう」と評価する。一方で、投資を通じて「夢や展望を前面に出してきた孫正義氏にとっては、再建は未知の領域だ」と指摘する。
2019/10/23 11:42
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO51282580T21C19A0MM0000/