日立製作所と日立産業制御ソリューションズは人工知能(AI)を活用し、防犯カメラなどの映像から特定人物を高速で発見するシステムの販売を始めた。年齢や服装など100項目以上の全身の情報を使うのが特徴。数万人規模の映像解析データから1秒以内に特定できるという。2020年の東京五輪に向けたテロ対策などで需要を見込む。

日立が開発したAI画像解析技術を活用し、日立産業制御がシステムを構築した。人物の顔のみでなく年齢、服装、手荷物などの条件を組み合わせて検索する。これまでは防犯カメラに映った顔から特定の人物を追跡していた。新サービスでは防犯カメラに顔が明確に映っていなくても、膨大な数の人物から特定の人物を探すことができるという。

例えば赤いシャツを着た子どもが迷子になった場合、シャツを指定して赤のチェックボックスを選択すると検索できる。防犯カメラの映像をAIで解析して赤いシャツを着た迷子の候補を表示。候補から該当の子どもと思われる人物を選択するとその子どもの移動経路を地図上に表示する。

防犯カメラ4台までの小規模なシステムから100台以上の大規模なシステムまで対応する。公共交通機関のほか、図書館や学校などでの防犯対策としての需要も見込む。警察や自治体など公共機関での活用も視野に入れる。

2019/10/9 15:45
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO50787040Z01C19A0000000/