→設備投資は前期比0.2%増に下方修正、個人消費は0.6%増で変わらず
→設備投資下方修正、米中摩擦が本格的に内需に影響−野村証の岡崎氏

2019年4−6月期の実質国内総生産(GDP)改定値は、速報値から下方修正された。米中貿易摩擦などを警戒して製造業中心に投資が手控えられる中、設備投資の下向き改定が影響した。7月のモノやサービスを含む海外との総合的な取引を示す経常収支は、61カ月連続の黒字となった。内閣府と財務省がそれぞれ9日発表した。

□キーポイント
・4−6月期GDP改定値は前期比0.3%増と速報値(0.4%増)から下方修正(ブルームバーグ調査の予想中央値は0.3%増)
・年率換算は1.3%増、速報値(1.8%増)から下方修正(予想は1.3%増)
・個人消費は0.6%増、速報値(0.6%増)から変わらず(予想は0.6%増)
・設備投資は0.2%増、速報値(1.5%増)から下方修正(予想は0.7%増)
・7月の経常収支は前年同月比1.3%減の1兆9999億円の黒字(ブルームバーグ調査の予想中央値は2兆460億円の黒字)−61カ月連続の黒字
・輸出から輸入を差し引いた貿易収支は745億円の赤字(予想は240億円の赤字)−2カ月ぶりの赤字
・海外配当金や債券利子などの第1次所得収支は1.2%増の2兆3899億円の黒字
            
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GDPと設備投資の推移

□エコノミストの見方
野村証券の岡崎康平エコノミスト:

・設備投資がかなり大きく下方修正された。1次速報値では堅調だったが、製造業がかなり足を引っ張った
・米中貿易摩擦の影響が本格的に内需の方に出てきた。日本経済を考える上で重要なポイント
・法人企業統計でも非製造業のソフトウエアは伸びており、省力化投資が下支えになっていく。労働需給や人口動態を踏まえても、加速せざるを得ない状況
・消費増税後の景気について、内需は見通しづらい部分あり、難しい。さまざまな景気対策が打たれているので、個人消費が底割れする事態は回避するとの見方が野村証の公式見解

バークレイズ証券の前田和馬エコノミスト:

・GDPの下方修正は設備投資が大きく寄与。設備投資全体では悪くはないが、機械類などへの投資が当初見られていたより弱かった
・ただ、GDP下方修正をもっても、外需は弱い中で内需は底堅く、日本経済は崩れていないとの見方を変える必要はない
・今回の結果をもって日本銀行が景気の見方を変えることはないだろう
・今月の決定会合では景気が持ちこたえていることと、市場も比較的安定していることを踏まえ、日銀は数少ない実弾を使うのはやめて現状維持する可能性が高い

>>2 へ続く

2019年9月9日 9:08 JST
更新日時 2019年9月9日 10:17 JST
Bloomberg
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-09-09/PXCKOBT0AFB501