【シリコンバレー=中西豊紀】米フェイスブックが24日発表した2019年4〜6月期決算は純利益が前年同期比49%減の26億1600万ドル(約2800億円)だった。個人情報保護の不備で政府が科した50億ドルの制裁金が響いた。あわせて同社は反トラスト法(独禁法)違反で政府の調査を受けていることも公表。売上高は28%増と堅調だが、当局対応のリスクも高まっている。

減益の理由は同日に米連邦取引委員会(FTC)が発表した50億ドルの制裁金だ。プライバシー関連ではFTCとして過去最高の額で、1〜3月期に30億ドルを、今4〜6月期は20億ドルをそれぞれ引き当てた。このため2四半期連続の減益となっている。

ただ、稼ぐ力は底堅い。売上高は28%増の168億8600万ドル。うち98%を占める広告事業も28%の増収だった。1日当たりの平均ユーザー数は10億5900万人で前年同期比で8%増えた。欧州は横ばい、米国・カナダは微増だが、アジア太平洋地域でユーザーを増やしている。

キャッシュフローも潤沢だ。4〜6月期末時点の現金および換金性の高い株式の総額は486億ドルにのぼり、巨額の制裁金も十分吸収できるレベルにある。

一方で、個人情報の保護や市場での強すぎる支配力などにからみ各国政府当局の同社に対する監視の目は強まっている。23日にはお膝元の米国で米司法省が同社を含めたIT(情報技術)大手に対し、反トラスト法違反での調査に乗り出すと発表した。

また同社は同日、FTCからも反トラスト法にからみ調査を始めたとする通知を受けたとことを明らかにした。調査の進展しだいでは過去に実施した写真共有アプリ「インスタグラム」の買収などの正当性が問われることになる。

社会に有害な投稿の監視も課題。フェイスブックの6月末の従業員数は3万9651人となり、前年同期で31%増となった。同社は人工知能(AI)と人の力を使って投稿監視を進めており、そのためのコストは膨らむ一方だ。

マーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は「我々のビジネスとコミュニティは引き続き成長している」と今回の決算を評価。その上で「強固なプライバシー保護を築くべく投資をしていく」と述べた。強気の姿勢はかわらないが足元は課題含みだ。
2019/7/25 5:13 (2019/7/25 5:51更新)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO47754360V20C19A7000000/